レ・ミゼラブル

2012年にヒューマン・ジャック主演、トム・フーパー監督で作成された映画「レ・ミゼラブル」は全編にわたってミュージカルで描かれた映画です。もともとミュージカルで上演されていた演目でしたが、レ・ミゼラブル自体を見るのが初めてでした。その衝撃たるや、何ともいえないくらいに圧倒されました。

全編ミュージカルというだけあって、セリフが全て歌われているのですが、それがちっとも違和感を感じられないのです。言うならば、映画や映像作品には必ず必要な演出のための音楽に乗せてセリフをしゃべっているだけであり、そうすることによって、セリフに込められた意味合いがこれでもか、と言う位に耳に心に訴えかけられているような、そんな感じがしました。かなり長い上映時間でしたが、最初から最後まで、ずっと飽きることなく見届けることができたのも、そのような一分一秒、歌に耳と心を傾けさせられていたからでしょう。

もちろん、目で見る映像部分もかなり素晴らしかったです。近世辺りの世界を描いていますので、どうしてもCGにによって背景などは描かれてはいますが、そのCGとリアルな人とがかなり絶妙にうまく融合している感じがしました。日本映画だとこの手の作品だとどうしてもCGと人との差が激しくなり易く、違和感を感じてしまい易いのですが、こちらは全くそのようなところは感じさせず、本当に当時の世界を見ているような感じでした。また、主演のヒューマン・ジャックの演技や役作りもそれに強く影響していると思います。初めに奴隷として働かされる痩せこけてみすぼらしくなっている主人公ジャン・バル・ジャンの姿は、役者自身が減量することによって演じられています。それによって、真に迫るリアリティというものを役者自身が生み出して、それとCGが上手く融和することで、映像美として作り上げているのだな、と感じることができました。物語としては、古典的な作品で良く知られているような部分もありながら、長編の作品であるレ・ミゼラブルを映画として、全編ミュージカルとして作り上げるために必要な部分をきちんと抜き出して、かなりうまくまとめられているように感じました。ミュージカル初心者でも、全然気にはなりませんし、むしろもっとミュージカルを見たいと思わせてくれるような作品でした。