パンズ・ラビリンス

話としては別に凄く画期的!とかでは全然ない気がするのですが(笑)でも確かに惹かれる作品ではある..映像的にも筋立ても含め、細部の作りこみがかなり凄い!とは思います。監督お得意のキモい系の描写もそれはそれで健在だし、この作品のトーンにも合っていると思います。

牧神パンの造型と不気味な台詞回し(口調がシーンによってどんどん変わるのが観ていて怖い..訳者さん頑張っていると思いますが、スペイン語のニュアンスが理解できると、もっと凄く怖いのでは?)中盤のクリーチャー”ベイルマン”(ちなみに「手が眼」ってのは映画「仮面ライダーZO」のコウモリ男が既にやってます..どうでもいいですけど)の怖い怖い造型と動作も実に..マンドラゴラも実にキモい(笑)

そして作中で最も優れた造型を誇るのはやはり、何といってもビダル大尉でしょう。実におぞましく、恐ろしい人物像です。そうでありながらも、その冷徹さの中に垣間見える強固な意志とその裏に見え隠れする死への恐怖、彼なりに強く「他人を信用しようとする」(そしてその都度裏切られる..)想い、歪んではいても筋を通すその姿勢、そんな彼の在り方に、中盤以降ある種の人間的な魅力を感じるところすらあり..この作品の放つ魅力は、大尉の存在があってはじめて生きるものなのだなとつくづく思います。彼を単純な「物語の敵役」として扱うべきなのか、個人的には悩むところですが(一般的には明らかにそうだと思うけど..)、私はとにかく大尉以上にパンの方に!その”一貫性のある一貫性のなさ”に、明らかな悪意と、そこからもたらされる恐怖を感じたので..

ラストは「救いがない」と見るべきなのでしょうかね?私は自身の終焉にあたって、見たいモノを見ながらそれを迎えることができるなら、それは幸せなことなのだと思うし、オフェリアにとって、(使い古された表現だけど)それは紛れもない現実だったのでろうし、それでよかったのかなと思います。